(リリ視点)
ついに連休も最後。トラブルはあったが
万事そつなくこなせたと個人的には満足だった。
教室の窓を見る。3人もすでにこの教室にいて、3人が若干の距離を置きながら
全裸で座り込んでいる。
・・・もう少しで夜更けになる。あたしはオレンジ色に焼けた空を見ながら
3人の携帯を取り出し、机に置いた。
マドカ(クロ)「?」
全然楽しくない・・・。カラ満足に浸っていただけな気がした。
自分の意思に反して・・・というより、真っ白な頭の中のまま、なすがままに
作業を始める。
処分してしまった服に関してはあたしのジャージや体育着を代用し、3人の前に
ほおり投げる。謎の行動に3人はいぶかしげな表情を向けていた。
リリ「・・・もういいや。」
ほおり投げた服をクッションにするように、携帯をその上に投げ捨てた。
マドカ、ミチユ、チユミは呆然とあたしを見ている。
リリ「画像とかは携帯の中に全部入ってる。パソコンに送ってるとかは全部嘘だから・・・。」
そう言うと、あたしは3人の顔を見ずに教室から抜け出した。3人がどんな顔であたしを見ていたかは
分からない。でも、「これでいい」・・・ということは分かったような気がした。
================================================================================
連休が終わった朝の教室・・・。
帰ったのか、さすがに3人ともいなかった。
画像は全て本当に処分した。もしかしたら又「仕返し」で苛められるかも。
・・・でもそれも仕方ない。今思えば、あの胸糞悪い連休を繰り返すほうがあたしにとっては
我慢できない。
これは仕返しだとか、正当防衛だとか言い聞かせて生きていくなんて絶対に嫌だ。
ドアが開く音・・・。そこには背の小さいツインテールの女の子がいた。チユミだ。
チユミ「あっ・・・」
リリ「・・・。」
バツが悪そうな表情のチユミ。おずおずと内股を擦りながら何か言おうとしてる。
チユミ「あの・・・これ。」
チユミのカバンから出てきたのは・・・新作の携帯ゲーム。
品薄で買うのもひと苦労だったはず。
チユミ「買ったからあげる・・・あたちが自分用に予約してたんだけど・・・
遊んだら感想だけ教えて?」
携帯ゲームを受け取ると、即座に新品のゲームソフトをカバンからひっぱリ出してきた。
携帯ゲームを抱えてカセットを片手で受け取ると、まるでわんこそばをオカワリするように
もう一本ソフトをあたしに押し付ける。チユミのカバンの中からまだ何本か埋もれているのが
見えた。全部新品・・・何かおかしくて笑ってしまった。
リリ「くふふふ・・・。」
チユミ「へへっ・・・取ったお金は利子つけて返すから・・・。」
リリ「ゲーム代だけで越しちゃってるよ。こんなに遊ぶの大変そうだけど・・・。」
チユミ「えっとね、あたちのオススメはね・・・」
ドアが開く音。そこにはミチユとマドカがいた。
しばらく沈黙が続き、チユミは少しおびえたような表情。
マドカ「・・・。」
ミチユ「・・・。」
チユミと違ってあまり好意的な表情ではない。
あそこまでしたんだから当然といえば当然だ。だが、マドカは突っかかろうともせずに
さっさと自分の席について、何事も無いように携帯を弄りはじめた。
マドカのほうをみていると、いつの間にかミチユはこちらに近づいてきた。
あたしはギョッとしてミチユの目を見返す。
ミチユ「・・・。」
あたしとチユミを交互に見る。
ミチユ「絶対ゆるさねえから」
あたしとチユミは押し黙る。あたしに寄ったチユミも今後は許されないだろう。
チユミはうっすら涙を浮かべていた。一方でイジメが続くにしても、今度はチユミと励まし
あえるなら我慢できそう・・・そうも思った。
ミチユ「許さないけど・・・もう何もしないよ。・・・マドカも。」
リリ「え・・・。」
そう言うとミチユはマドカのところへ戻って談笑し始めた。
------------------------------------------------------
*逆転エンド希望の方もいましたが、個人的にはこれくらいが一番いいかなと。
時間軸としては一気に飛んだ部分もあるので、補足として
今後1部をベースに何か作るかもしれません。その時は過去のアイディア提供も参考にしますm(_ _)m
今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
*つじつま合わせのため、多少リライトするかもです。