調教部屋第2部 マドカ視点 第3話「抵抗」







リリ「ただいまー。」

 アホの面をさげて、理科室へ戻ってきたリリ。 あたしは歯ガミをしながらそいつをにらみつける。

 一度ならず二度まで・・・!自分の間抜けさにもいらつくが、それ一層にやっぱりリリが一番ムカつく。あいつが手元に携えてる薬品をあいつの顔面にぶっかけてやりたいほどに。

 だが、それをされそうなのはむしろあたしの方だ。その1点において、怒りよりも恐怖が勝る。

リリ「もう二度と、あたしの親友を苛めないの、約束して。」

『・・・わかったよ!だからこの縄外せ!』

 ここはあいつの言うとおりに従うのが先決。もちろんこんな約束反故にしてやるつもりだが、リリのバカはホイホイ真に受けてあたしと机を縛り付けていた縄を解いた。

リリ「それじゃあ、2人の友達に電話して苛めないように言って。」

 そこに取り出したのはあたしのスマホ。なに勝手にあたしの所有物持ちやがってんだよくそが。  あたしはおもむろにリリの顔に右手を押しつける。よろけた瞬間に薬瓶をひったくり、リリから一旦距離を置いた。

リリ「あっ・・・。」

 あたしに劇物を取られたことに気づいたリリは、さらに互いの距離を置く。あたしはほくそ笑んだ。

『で、どーすんだよ、え?』  

 と、雌雄決したかに見えたが、リリがかすかに笑う。すると、理科室にあるテレビの電源をつけた。

 そこには、うつ伏せでけつ毛の生えた肛門大写しのあたしの姿が流されていた。ふと理科室を見ると、器具が並ぶ棚の一番下の段にカメラが置かれていた。ここ出るときに何か漁ってたのはあれか!

 ”硫酸瓶”ばかりを気にしていたせいで、カメラを設置していた事は全く意識していなかった。

リリ「ケツ丸だし映像、今全教室に流れてるよ?」

 『お、おいっ!消せ!さっさと消さねえとぶっかけるぞ!?』

 あたしは瓶のふたを開けて、リリにかけるような小さなジェスチャーをした。が、リリは動じない。

リリ「え?水ならいつもあたしにぶっかけてるじゃん。」

『・・・はぁ?』

 言葉の意味が分からなかった。あたしは瓶の口に鼻を近づける。・・・何かおかしい。  確かにリリが出るとき、机に置いた薬瓶だ。瓶をすり替えるなんて出来るわけがない。

『うそつくなよ!さっきあたしの制服溶かしただろ!?』

 リリはあたしの制服の所へ行き、それを蹴り飛ばす。制服の下には白いものが広がっていた。

『せ、石灰・・・?』

リリ「そうそう。石灰は水をかけると化学反応起こすのよね。」

 形勢逆転したかと思いきや、あたしが持っているのはただの水。リリが持っているのはあたしの素っ裸映像・・・。  あたしは瓶をテーブルに投げつけた。ゴトンと音を立て、一本亀裂が入る。

亀裂の隙間と瓶の口からこぼれた液体からは、煙もなにも出ては来なかった。

 




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