レズ小説、野外露出

結局丸出しライブ!?



佐奈良 ネヅキ(さなら ねづき)(15)



『』はネヅキの台詞♪ ------------------



「いや、ゴメンね・・・こればっかりはどうしてもフォローできなくて。」

 予約のために来たいつものスタジオの受付。 そこでのライブ会場のオーナーの言葉に、あたしとミズナちゃんは呆然と立ち尽くしていた。

度重なる粗相にここを利用しているイベンターが怒り、あたし達HazyMoonは出禁を食らってしまった。 出来の悪いセッションのせいで、あれだけいたお互いのファンは見る影も無く、むしろアンチに変身 したファンが腹いせにクレームを入れているのかもしれない・・・いやいや、さすがに深く考えすぎか。

 当然と言えば当然。ステージに上がればメチャクチャの曲を奏で、それもほどほどにあたしはすぐ素っ裸に なるわ、ミズナちゃんも下半身丸出しのまま来ちゃうわで・・・。

 ギリギリまでバレなかったんだけど、この前ついにミズナちゃんがパンツ丸出しなのがバレて しまった。しかもスポーティーとかじゃなくて薄地で細かい刺繍のついた”ザ・パンティ!”というようなあからさまなもので、 誤魔化しようも無かった。

ノーパンの時じゃなくて良かったとも言えるけど、ここら辺で「ネヅキに誑(たぶら)かされて 頭がおかしくなった!」と軽蔑されてミズナちゃんのファンが激減した。

・・・客もいなけりゃ問題も起こす、無駄にクレームだけが来るとなったらスタジオ側ももう用はないってことだよね。とほほ。

ミズナ「残念だけど、他のスタジオ探索が出来るチャンスかもしれないね。」

 いつもどおりのマイペースでポジティブなミズナちゃん。あたしみたいにすぐ落ち込むよりはいいけど、 ここまでくると何も考えてないんじゃないかと逆に不安になってくる。

『でも渋谷のライブスタジオで一番安いとこだったから残念・・・。』

ミズナ「あ・・・。」

 あたしにとっては聞きなれた「あ」に不安がよぎる。

ミズナ「あそこのカフェテリアおしゃれだね!作戦会議がてら休憩しようよ!」

『え・・・。』

 ガーデニングされた庭のような入り口に、ランプ等ヨーロッパ風の装飾品という、いかにも高そうなカフェ。

ミズナ「見てみて!あのチーズケーキおいしそう!」

 おしゃれな手書き黒板には「珈琲in500円」、「チーズケーキ600円」・・・すでに1000円が吹き飛ぶという恐ろしい事実が告げられる・・・。 どんきで50円の缶コーヒー飲めばいいし、せめて安いファミレスのドリンクバーなら300円で飲み放題なのに。

 そんな思いとはつゆしらず、ぐいぐいと手を引かれて強制入店。一緒に暮らして気づいたんだけど、ミズナちゃんは”意識高い系”の 女の子で、家具は”値段”ではなく”デザイン”。食品も国産なのは当然のこと、”オーガニック”にこだわるためわざわざ駅前にある高級スーパーや デパ地下の食品売り場まで買いにいくほど徹底している。

 それだけならいいんだけど、バイトと仕送りだけの生活でそれをやるのが大問題。

結局手持ちが無くなってバイト代支給数日前には角砂糖をポリポリする生活になってしまうという・・・。

ミズナ「シナモンエスプレッソ(650円)と特製チーズケーキください。」

『水・・・は無いですよねすいませんコーヒーで。』

 ちなみにあたしは今、ミズナちゃんのマンション(防犯完備!)に居候中で、 最初は「お金はいらないよ!」と言ってくれたけど、せめてもと食費 を折半することになった。

 ・・・だけど、同居1週間目にしてあたしの貯金が無くなりかけている! そもそも手元が無かったのも原因だけど、宿泊費が浮いたはずなのにその恩恵を全く感じない。
バイトしないとまずいかな。でも女子高生が出来るバイトってあるかな?学校に怒られそう。

 

ミズナ「ネヅキちゃんネヅキちゃん!」

 ぼうっとしながらコーヒーを啜っているところに、嬉しそうにあたしの肩を叩くミズナちゃん。 おしゃれなコルクボード板のチラシがある。どうやら近くのお店とかがお願いして広告を貼らせてもらったり しているみたい。

ミズナ「ここのライブハウス行ってみようよ!」

 そこには、”ミュージシャン緊急募集!未経験歓迎!無料、ノルマなしで初回参加できます!分配有り!”と、安っぽい文章のわりに、この店の装飾を壊さないためか、淡い小麦色の紙に手書きで 書かれている。

  『あぁ、ずいぶん焦ってるみたいですね。』

 普通はアーティストが「チケットを●●枚売らないと参加できない」という”ノルマ制”のライブか「●●円で参加できます」という”参加費制”のライブイベントが多い。 一時期(たった2,3回だったけど)は収益が分配されるくらいにはなっていたんだけど、組んでからはノルマも達成出来なければ 参加費の回収も危うい今の状況・・・。

 そこでこの条件は正直嬉しい。客が呼べなくても参加できる上に、うまくけば分配もある!ライブハウスも出禁されてないところみたいだし。 もういてもたってもいられない!

『い、行きましょう!今すぐ!』

  ミズナ「え?でもチーズケーキが・・・。」

 なんとも困ったような表情であたしと厨房を交互に見るミズナちゃん。 いやいやいや!チーズケーキなんて食ってる暇無いってば!

『もしかしたら他の参加者がもう行ってるかも!』

ミズナ「そんなに焦ったらそれこそもったいないよ。今行っても間に合わないかもしれないならゆっくり行こうよ!うん!」

 あたしは立ち上がった木製の硬いおしゃれ椅子へもう一度座りなおした。

 ミズナちゃんに一切れもらったチーズケーキはとても濃厚でおいしかった。



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ミズナ「よぉしがんばろう!」

 新しいライブハウスで話をつけてから1週間がたったイベント当日。 あたしの不安とは裏腹に、イベントメンバーに穴が開いてしまって、頭数が足りなかったらしく、とんとん拍子で話がついた。

今回は”グリーン・デイ カバーライブ”。グリーン・デイといえばあたしが超絶リスペクトしているアメリカのパンクロックバンド!
そのカバー曲を演奏するイベントらしく、無名のあたし達はメンバー5人中2番目に位置づけられた。


 ステージ裏で何度も深呼吸。あたし以上に張り切ったミズナちゃんはコスチュームからメイクまで拘って用意して くれた。これで明日から角砂糖生活に突入するかもしれない。

 でも、もしも今回のライブが成功すれば配分が多少入るからぎりぎり大丈夫かも!そのときはミズナちゃんに節約するよう言おう。

ミズナ「あたしもこのバンド好きになった!かっこいいよね!」

『う、うん。もちろん・・・。』

 いや、パンク史に残る神様をそんないちミュージシャン扱いされるとちょっと・・・まぁいいけど。

ミズナ「なんかわたしもギター持ちたくなっちゃって、じゃ~ん!」

 ダンボールで作った「ギターもどき」を弾くフリをするミズナちゃん。ちょっと可愛くて笑ってしまった。

  「Hazy moonさんお願いします!」

『あ!はい!』

ミズナ「いくぞぉ~!」

  『ミズナちゃん、練習どおり少し早めのテンポで・・・。』

 ライブ会場のジングルにあたしの声はかき消された。

ミズナ「はじめましてみなさん!Hazy moonのミズナと、ベース担当のネヅキです!」

 まばらな拍手。ただでさえファンが減ったというのに、ライブハウスも代わってしまったせいか、よほどのヘビーユーザーしか 来てくれてないらしい。満杯のライブハウスの中で、数人だけがなんとか盛り上げようとしてくれている。少し虚しいけど今に始まったことじゃない。

 そんなこと意に返さない様子で淡々としゃべってくれるミズナちゃんがこの時だけはとても頼もしい。 ミズナ「グリーン・デイ すきですかー!?」

数人「おぉおおおっ!!」

他数人「ネヅキ様にも喋らせろスイーツが!!」

 あぁもう、そういうのいいから早く始めようよミズナちゃん・・・(´・ω・`;)

ミズナ「ではいきます!バスケット・ケース!」

 ミズナちゃんの歌い始めにあわせて弦を弾く。想定どおりなんだけどやはりの「どスローペース」に 調子がずれる。



 それでも、何度も二人でこの曲を聴いたり、カラオケ店で練習したりしたおかげでなんとか歩み寄れて いる。

 不安やお互いの方向性の違いという”精神との葛藤”がこの曲とマッチして、リスペクトしてる事に輪をかけて熱くなってくる。

そう。調子に乗れば乗るほど旋律は激しく暴走し、歌声はマリファナを吸い込んだように陶酔する。

二人の距離が離れていき、あたしの衣服も肌から離れていく。脱げないようガッチガチに前を縫い付けたのに、何かに憑依されたような力が沸いて それを引きちぎり、下着も破り捨てる。

 パイパンの割れ目をさらけ出し、ギターストラップに押されているおっぱいもブルンブルン躍る。









 ライブハウスの控え室ー

 あたし達は、ライブ配信で行われたこの放送を、ミズナちゃんのマックPCで観ていた。

反省もこめて観ようとしたのだが、タイムシフトは”問題のある映像が映ったため”消され、 結局は規制がゆるい動画サイトに転載されたものを探し出して観る事になった。 ほんと、こういう動画って転載早いよなぁ・・・。

『あぁ、何度観ても脱いでる・・・。』

 当然のことなのだが、「もしかしたらパンツだけは脱いでないかも」みたいな希望を持っていたがそれも消えうせる結果に。

ミズナ「でもイベンターさんもあんなに怒らなくていいじゃない。」

 あくまであっけらかんとしているミズナちゃん。

『いや、今回はネットライブもやってたからやばかったみたいで・・・。』

 イベンターがあたし達のことを知らなかったのも敗因で、まさか脱ぐとは思わなかったらしい。 今回のイベント映像はあたし達の演奏で遮断され、ネット配信が切られてライブハウス内だけの継続になってしまったらしい。

他のバンドメンバーさんの視線が痛い・・・現実逃避するように体育すわりで映像を見ていると、ミズナちゃんの様子がなんかおかしい。

  『あ、あれ?』

ミズナ「え?え!?」

 カメラ前の位置に移動したミズナちゃんが腰をくるりと回したとたん。お尻がぷりんと大写しになった。しかも無駄に画質が高かったせいで 肛門皺まで数えられるレベルで丸出し。 



 ミズナ「えええええ!?何で!?何で!?ネヅキちゃん確認してくれてたよね!?」

『は、はははは、はい!家出るときはちゃんとジーンズ穿いてました。』

 そう。家に出るときに、「又下半身丸出しじゃないか」の確認はするようにしていた。 そして今日も大丈夫だったはず。

 そのあと、この会場について、ミズナちゃんの用意してた衣装に着替えて・・・。

ミズナ、ネヅキ『「あ」』

 着替えたときか!!

『いや、だからってなんでパンツまで・・・。』

ミズナ「今回初めてのトコのライブハウス会場だったから、勝負パンツに履き替えようとしてて・・・。」

『・・・。』

 なんでこういう人に限ってそういう拘りがあるんだろうか・・・。

ミズナ「あ!で、でも良かったかも!昨日シャワー浴びたとき、しっかりお尻も洗ったし!!」

 いつものように謎のプラス思考なミズナちゃんの背後に、ライブハウスのオーナーが現れた。

 今回のライブが、このライブハウスでの最後の演奏になることが告げられた。






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 「みどりの日」なのでグリーン・デイ(。・ω・。)
バスケットケースは「精神疾患との葛藤」がテーマなので、ある意味病んでる二人の「脱ぎ癖」と合ってると
思った。あと、5月病の時期にもあってるね。

かめにも合ってるねうんうん(。ーωー。)




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